monaho

monahoって、エスペラントで、僧侶の意味なんですって。

「とっくに終わった話」

 

 2022年8月10日に、WFCスカワスタ♀本の2冊目、

 「とっくに終わった話」を出しました。

 おまけ付きの限定版と、本体のみの通常版の2種類。

 ありがたいことに、限定版は(8月18日現在)残り1冊となっております。

 ありがとう…ありがとう…。

 

 昨年10月に出した「him - 楽園文庫 - BOOTH」とは、

 対を為す? 1冊です。

 

 「him」は黒。「とっくに終わった話」は白。

 「him」は約400p。「とっくに終わった話」は約200p。

 「him」は、彼の死の前後の話。

 「とっくに終わった話」は、彼が生きていた頃の話。

 

 この1年で、WFCスカワとスタ(子)に関してはまた色々考えていて、

 考えすぎのせいで(?)本自体にはあとがきを入れられなかったので、

 ここで色々語ります。語らしてくださいッ……語ります……

 

・あまりアテにならない目次

 

 ※本の内容に触れますのでご注意ください!

 

 そのまえに、

 この本やあとがきを読むお供として、

 こんな曲がオススメです。

 



 

2021年11月の夜のこと

 昨年11月。

 自分でも「him」を読み返し、頂いたご感想を噛み締め、

 改めてスカイワープのことを思い返したときに、

 こんなのあんまりだ、と思いました。

 それだけは、はっきり覚えています。

 

 あまりにも、ねえ、可哀想になってしまったのでした。

 こんな、こんな途中で、したいことも、言いたいことも、

 行きたい場所も、見たいものも、何もかも途中で(※)、

 彼は死んでしまったのです。

 むりだよ……

 自分の本が捏造たっぷりに原作を追っかけるタイプのお話だったので、

 余計に「スカイワープは死んだ」という事実が重くのし掛かる。

 (※恐ろしいことに、すべて妄想である。)

 

 彼にいい思いをさせてあげたい。

 いや、おこがましい。彼がいい思い、楽しい思いをしていたところを、

 少しでいいから書きたい。

 次の本は、スカイワープの幸せだけを詰め込みたい。

 

 そんなこんなで、この白い本を作ろうとなりました。

 「とっくに終わった話」は、その頃にふと思いついたタイトルでした。

 スタ子の声で、「もう、とっくに終わった話をしよう。」という一文が流れてきて、

 これじゃん……とスタートダッシュしたのでした。

 

 

スカワの記憶について

 某所でもつぶやいていたのですが、

 「シージ」のスカワは、指揮官(直属の上司)に撃たれて亡くなります。

 この瞬間を目撃していた者はいません。

 誰に、どこで、どこから、なぜ、どうやって撃たれたのか、

 劇中の誰も知らないまま、スカイワープは命を落とします。

 最期に、巡回中のスタたちのもとまで飛んできて、

 ジェットファイアーに、やられた(Jetfire betrayed....)」

 とだけ言い残して。

 ここはみんな観てくれ。観た人はもう一回観てくれ。原語版スタの(gasps)を聞いてくれ。

 

 このことが公になったのは、スカワを看取った(であろう)スタが、

 軍のトップであるメガトロン様に訴え出たからでした。

 ジェットファイアースカイワープを殺しました、死ぬ寸前に本人から聞いたんです。と。

 

 しかしスタ、劇中では(ていうか過去作のどのシリーズでも)びっっっっっっっっくりするくらい人望がありません。

 たとえ真実を話していたとしても、「また馬鹿なことを言いおって」と相手にされないこともしばしば。

 スタの言うことは信用ならん、と、

 軍の上層部も、スタの敵も、そして視聴者でさえ分かっていました。

 私だって思ったよ。こいつジェを追放するためだけに、スカワが死んだって大袈裟言ってんじゃないかって。ジェを追いだしたあと、「おい、うまくいったか」ってスカワが出てくんじゃないかって。

 

 でもね、今回に限っては、劇中では誰もスタの言うことを疑わなかったのでした。

 まあ撃った張本人が「撃ちました」って認めたので、というのが大きいのかもしれませんが、

 誰も彼も、「ジェがスカワを撃ち殺した」というところは信じてくれたし、

 メガトロン様も躊躇なくジェを裏切り者と認めてくれたし、

 だからこそ視聴者も「え……? ほんとに……死……?」と絶望したわけですが、

 ただ、あまりにあっさり「ジェがスカワを撃ち殺した」とみんなが認めてくれたおかげで、

 結局スカワの「そのとき」、撃たれた前後のことは、

 誰も知ろうとしなかったのでした。

 少なくとも、画面に映っている範囲では。

 

 

 結果的に死んだ者のメモリ・データなんて覗く価値はない、

 と誰もが思ったのか、

 

 立て続けに起こった大きな事件のおかげで、

 誰も彼もスカワのことなんて忘れてしまっていたのか、

 

 はたまた、誰かが「調べてみましょうか」と言い出しはしたものの、

 他の誰かが「そんなことしなくていい、やめろ」と、

 すぐに強く制止したのか。

 

 

 けれど、もし、

 誰かがスカワの死の真相に価値を感じ、

 誰かがスカワのことを忘れずにいて、

 そして誰も強く制止することがなかったとしたら、

 誰かはスカワのブレイン・サーキットの中身を覗いて、

 いったい彼に何があったのかを暴き出そうとしたかもしれない。

 

 そこにはきっと、

 オートボットの基地の場所が映っていただろうし、

 はっきりと軍を裏切る発言をした指揮官が映っているだろうし、

 スカイワープが指揮官を殴り飛ばしたところも、

 そこから振り向いて見た瓦礫の山も、

 彼が背中から撃たれたことを証明するぐらつきも、

 確かに銃を構えた裏切り者の姿も、

 ぜんぶ残っていたはずなのです。

 

 

 でもね、

 スカイワープのメモリには、瓦礫と銃しかない、わけではなかったと思いたいのです。

 もう少し古い記憶まで辿ってみれば、

 サンダークラッカーと「だるい」「だるい」って言い合ってる日のこと、

 ホットリンクと演習の計画を立てていた日のこと、

 ビットストリームにからかわれて怒ってる日のこと、

 そしてなにより、スタ子と一緒にいた、

 あのなんてことない昼間や、

 なんてことのない夜の、よくくだけた軽口と笑い声が、

 きっとね、たくさん映し出されるんじゃないかなあ、と。

 

 その中のほんのわずか、ちょっぴりだけ抜き出して、

 私が書いてもいいですか。

 そんな幻を見ながら、この本を書いていました。

 

 

 まぼろしです。分かっちゃいるのです。

 

 

愛 と しあわせ

 この本には、メガトロンもジェットファイアーも出てきません。

 出てきても名前だけ。

 ジェットファイアーに至っては、名前も出てこないかと思います(たぶん)。

 意図して省きました。

 

 ほんとうに、スカイワープの幸せと、愛、だけを詰め込みたかったのでした。

 彼の幸せは、とびっきりのデートでもなく、甘いやり取りでもなく、

 素敵なプレゼントでもなくて、いつもの風景の中の、

 前後の詳しい流れは覚えていないような、いつものやり取りだったんじゃないかな。と。

 あれもこれも、ぜんぶ、愛だったと思うのです。

 

 愛ってなに…?

 確かなことは誰にも分からないのだろうけど(分からん)、

 でも、あのとき、撃たれてぐらぐらになりながら、

 スタ子のもとに墜落してきたのは、

 あれは間違いなく愛だったと思うのですよ。私は。

 

 そんでもって、

 スカワには、「幸せだった?」と訊かれたときに、

 迷いなく「幸せだったよ」って答えてほしいのでした。

 それを聞いたスタ子には、そうなんだ、って安心してほしい。

 それなら、なんか、よかった。って、謎に納得してほしいのです。

 そうしたら私は「そんなもんで満足しないで……もっと幸せになってほしかった……」って泣くので。

 

      

 

 これはポスター作り中に偶然できたもの。

 ミュージックアンドエコロジーって感じ

 

 

 でもな。幸せだったのだろうな。

 幸せだったんだよ。スカイワープは。たったそれだけで? って思ってしまうようなことが、彼には一生ものの幸福だったんだよ。きっと。

 

 

死にたくなかった

 死にたくなかっただろうな、

 と、書いていて何度も思いました。

 

 今回の本には帯がついているのですが、本体より先に帯が届き、

 その美しさに感動したのは言うまでもなく(帯もデザイナーさんに素敵に作って頂きました)、

 なんかね、できたものを改めて見たら、

 なんで死んじゃったんだ……と泣けてきました。

 

 スカワ。おまえなんで死んじゃったんだ。

 そう泣きつきたいのはね、私よりもシーカーのみんなだと思うんですけど……

 

 

各話のはなし

 すべてのお話を、誰かが笑って終わるように作りました。

 

・一生敵わない

 スタ子のやきもちが書きたくて作ったもの。

 ブリッツウィングが大暴れで楽しかったです。スタンダードヤンキーなのがすきです。

 

 スタ子は「認めたくない」「気付かないふりをしてる」とかではなく、

 ほんとに「知らない」「なんて言ったらいいか分からない」「だから、“なんか”むかつく」だったらいいなと思います。

 

 黒用のワックスは、スカワのイメージ香水から。

 趣……とも思いますが、ほんとにスカワぴったりの香水を

 作って頂いたので、地球語にするとこんな香りだったよとネタばらしです。↓

 

 

 

・ずっと手のひらの上

・怒らないひと

 スカワがスタ子に振り回され、ちょっぴり距離の近い2つのお話。

 もし似たようなことを他のひとにされたり、他の人から言われたり、したら、

 スタ子には「は? うるせえ」って突き放してほしい。

 

 

・ちがうこと考えてるよね

 フレンジーとランブルです。かわいいね。(爆速ネタバレ)

 WFC本編でコンドルさんとジャガーレーザービークとラヴィッジはいたのに、

 フレ&ランがいないのが淋しかったのでした。わたしが。

 WFCのD軍はは初代よりずっとしっかりした軍なので、

 フレンジーとランブルは脳内会話のできるロボットとして

 作られていたらいいな~という妄想でした。

 初代ではフレンジーとアホな喧嘩をしていたスカワですが、

 WFCスカワには私が最大限の夢を見ているので、このくらいクールでもいいかな~~~と思っています。

 あとはレー<○>がかわいいです。

 

 

・みんな寝ちゃだめ

 ちっこいスタ子に、ぽつん、と質問してほしかったお話。

 シーカーズは直接迫害されたわけではない、というのが慶的設定なのですが、

 直接なにかいじめられなかったとしても、小さい頃のこんな思い出が、

 敵は殲滅、という思いにまっすぐ繋がることもあるのでは。

 

 

・白い朝

 情景だけが、「him」のときからずっと残っていたお話でした。

 これに関しては、お話の外で語ることはないかもしれない。

 

 

・ありあまる幸せ

・明日も多分、なんでもない日/プロローグ

 このあたりは、本を作るぞ…と決めて、初めの頃に浮かんでいたもの。

 お話にほとんど込めたので、これだけ聞いてください。


www.youtube.com

 

 

 思いつく限りを書きました。

 あとで思い出して何か追加するかもしれない。

 

 どこまであがいても、もっと幸せになってほしいと思っても、

 原作がそうはならないとはっきり示しているので、

 幸せを追えば追うほど、その先の現実に引き戻されてしまいます。

 その感じがいいんですけどね。

 

 あらためてシージを見返して、

 ああ、スカワ、なぜ、

 と、あらためてちょっと泣いてもらえたら、

 私は余計に泣いて大きく頷きます。

 

 

 スカイワープのこれは確かにすべて愛だったのです、

 と言い張りたい1冊でした。たのしかった!