今年も気がついたら11月11日がやってきて、そして過ぎていった。
時は既に12月。光陰、矢が過ぎる。
11月11日はノイトラ・ジルガの誕生日だった。
ということを、毎回思い出してはいるのだが、上記の通り毎年「あっ、11月11日」と思ったときには翌日になっている。
ので、今年はちゃんと考えよう! と思って、
考えるだけ考えて……いたものをまとめます。もう12月だけど。
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「それは違う」とだけ指摘されて、答えを提示されなかったのが、ノイトラ・ジルガなのではないか、
とふと思い至った。
虚圏では、藍染がやってきて、やれ虚夜宮だ十刃だとシステムを整え始めるまでは、
そこは虚たちだけがぽつぽつと存在している、何もないだだっぴろい砂漠だったのだろうと思う。
虚たちが「個」を獲得するまでも相当苦労するようだが、
ひとたび「個」を獲得したところで、他には何もない。
いや、何もないわけはなくて、「個」同士で仲良く(?)したり、上下関係や同盟が生まれたり、
いわゆる他者との関係を築くことはできるようだが、
ノイトラ・ジルガはそうはしなかったという話。別に誰かと仲良くなるのを望んでいた節はない。
ノイトラが「個」を獲得したところで、やることは殺して・喰うことだけ。
他にすることがないから、ただ殺して喰い続ける。
殺して喰うしかやることがないから、そこに意義というか、楽しみというか、を見出すしかなかったのでは。
喰い続ければ強くなるので、当然、より強い相手を殺すことができる。
殺し続ければ戦いに慣れるので、やはりより強い相手を殺すことができる。
分かりやすく、のし上がる。
のし上がることに楽しみを見出しはしたが(「どんな酒も水に劣る」のだ)、
なんというか、「他にやることないから戦い続けるが、戦うことに意味があるとは思っていない」という諦観があったように、思えてならない。
のし上がり続けた先に何があるのか、とかを考えると、バラガンや藍染のように「支配」とかが出てくるのかもしれないが、
ノイトラ自身は、多分そこには重きを置いていない。
他にすることがないから、やっているだけ。
面白くはあるが、意味はないと分かっている。
支配欲も無ければ、最強という名声云々にも、言うほど興味は無さそう。
だって「戦いの中で息絶える」死に方を望んでいるのだ。
戦って自分の強さを誇示したい、と、十刃の中で1番そういう血の気を感じるのに、
ただひとり、ノイトラ・ジルガだけが「死ぬこと」について言及している。
(※死を体現しているバラガンがいるけど、彼は死を「悪いもの」とか「終わり」としては捉えていなさそうなので…)
自分が勝つのだ、自分は強いのだと散々口にするのに、
彼は勝っても、然して嬉しそうにしない。
藍染を倒そうとか、利用しようとか、下克上みたいなこともあまり感じさせない。
戦いを求めているくせに、「所詮、本当に意味の無い、ただの暇つぶし」のように振る舞う。
そういうところが、私には面白い。
で、
彼を語るうえで外せないのが、ネリエルである。
ネルはノイトラより強かった。ノイトラが何度も彼女に挑んだようだったが、負かされている。
さらには、野良の(?)虚に殺されそうになった彼を、ネルは助けている。
「なぜ助けた」と呻くノイトラに、
「あなたが私より弱いからよ」と答えるネル。
これ、なんというか、ネルにはノイトラをディスる気はなかったのだろう……というところが良い。
争いを好まないネルが、わざわざ(しかもよりによって)ノイトラに喧嘩を売る必要はないのだから。
ネルからすれば、ノイトラが格下なのは確実。
互角・同等ではない⇒だから「面倒を見てあげる」みたいなことだったのではなかろうか。
だが、ネルのほうも恐らく言葉足らずで、彼女の真意はノイトラに永遠に伝わらなかった。
なのでノイトラからすれば、非常にムカつく格下扱いなのだが。
だからあの追放が発生するのだが。
ネルも言葉足らずなのだろう、と思えるようになったのは最近のことである。
ネルは「あなたには理性が無い」と言った。無駄な争いや殺しは止めるようにも。
しかし、「だから○○したらどう?」とは言わなかったように思う。
あなたの言動は間違っている、とは指摘して、
どこが・どう間違っているかのか、
その代わりに何をすればいいのか、答えになりそうなものは提示しなかった。
それは自分で見つけなさい、気づきなさい、ということだったのだと思う。
そりゃ無理だ。
そもそもノイトラとネリエルとでは、出発点が全然違う。身分とかではなく、戦いを愉悦として捉えるか、無益なものとして捉えるか、とか、そういう思考の根っこの部分が違うのだ。
そのノイトラに、ネルが言葉にしない部分を察しろったって、無理だ。
よしんばノイトラが察しようとしたとしても、ネルが思う正解・ネルが望む答えに辿り着けるようには思えない。
ノイトラからすれば、「お前は間違っている」だけ突き付けられて、
だからどうしろとか、ヒントも答えも与えられない状態。
間違っていると言われたって、他にするべきこともないのに?
殺し続けるほかにすることないのに?
自分の来し方を「それ、違うよ」と否定されるだけでも「アア!??」となるのに、
じゃあ……と色々試してみても、彼女には一向に認めてもらえない。
嫌にもなるかあ。
嫌にもなるよ。
ネルの望むような答えにはたどり着けないだろうと分かっていて、
それでもネルは、彼の生き様を正したかったのだろうか。
それともネルにとっては、ノイトラはただ突っかかってくるだけのうるさい戦闘狂だったのだろうか。
ただ、面倒な男をあしらっていただけなのだろうか。
む。それもアツいな。ノイトラだけが執着している状態。アツいな。アツいぞ!??
急なアツさは一旦置いておいて、
ネリエル自身にも、ノイトラに対する関心や思いがあったのだ、と思いたいノイネル派としては、
ネル、あなたも歩み寄りが足りなかったんじゃないかい、
もう少しハッキリ言葉で伝えてあげてもよかったんじゃないかい、
と思ってしまうのであった。
それからもうひとつ。
ノイトラの他者への振る舞いは、
「自分が、こう扱われたい」というものだったのではないか、
とも思った。
自分にされて嫌なことは、人にしちゃいけません。
裏を返せば、自分がされて嬉しいことを、人に為しましょう。←これである。
俺はこう扱われたいんだ! という振る舞いを続けたのに、
誰一人として、自分をそうは扱ってくれなかった。
戦いの中で死にたいのに、ネリエルは自分を殺しはしないし、あまつさえ命を助けてきやがる。
ノイトラが相当強くなってしまったので、自分より強い敵もそうそういない。
そう考えると、彼が最後に相対した相手が、
剣ちゃんで良かった。
私がこれまで推してきたカップリングのうち、
原作中で、相方がはっきりと死んでしまう二人は、数組ある。
ただ、最後まで分かり合えなかったらしい描写があるのは、ノイネルただひとつである。
だからこそ、いったい彼らは何を考えていて、なぜすれ違い続けてしまったのか、
余白の部分を思わずにはいられない。
BLEACHの魅力の一つは、「絶対にあるのに、描かれないので目に見えない」余白が、各所に多々存在していることだと思う。
それがたまらねえのである。二次創作女にとっては。
たまらねえのだが、ノイトラについては、どれだけ余白を考えても「これだ!!!!!」という私なりの答えに辿り着けずにいる。
辿り着けずにいるのも、まあこれはこれでたまらねえのだが。