揚羽さん(https://www.pixiv.net/member.php?id=17643743)が「葵屋の古井戸に纏わる話」にリンクを貼ってくださったよ!!!!アリガトウ!!!
揚羽さんの作品ページからいらしてくださった方もいらっしゃるのかな。初めまして。慶と申します。殺りん要素が一切ないブログです。すみません。
しかもこのあいだからなぜかキリ番が機能しておりません。すみません。4444と5000HITも設定していたのですが……ちゃんと動いたのかしら……
さてさて、
以下は久々におはなしです。
御頭、禁断の扉を開く!? 誰にも秘密の激情、一度触れたらもう離れられない。これは恋――!?
映画「昼顔」のポスターを思い浮かべてから(安心して)お読みください。
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新たな扉を開いてしまった、という自覚はある。
禁断の扉。甘やかであり、なめらかであり、温かくあり、早い話が夢中――。であった。骨の髄まで毒されたといっていいだろう。無論、その毒すらひたすらに甘い。
そういったことを、誰も知らない、というのがまたいいのであった。誰も知らぬ。蒼紫が今、こんなにも彼女に夢中になっているということを、同僚はおろか、もしかすると妻ですら知らぬかもしれない。背徳感。蒼紫が頭の中でいくら彼女のことを考えても、それを知れる者はない。甘ったるい声。やわらかな肢体。顔をうずめると立ち上る、なんともいえない芳香。この手に抱いたときの、愛らしくしがみついてくるあの姿。唇を寄せれば、その肌はシルクよりも潤って、あれは身をよじるのだ。からだを離そうと胸をなぞる、その力加減すら、息苦しくなるほど愛おしい。
ひとたび彼女と会ってからは、蒼紫はもう虜であった。未知の世界ではあったが――、もう戻れるものではない。引き返せない。
彼女よりも可愛い女がいるだろうか。いやいまい。いるはずがない。いて堪るか。いないったらいない。
「ぱあ」
蒼紫の帰ってくる時間をすっかり覚えたらしい。”彼女”は一歩一歩、足をひとつずつ持ち上げるようにして歩いてくる。いや走ってくる。きっとそのつもりなのだ。
「ぱぁ、ぱ、ぱ」
きゃらきゃら楽しそうにしながら、彼女は手を伸ばす。ちいさな手。ぷくぷくの指。その手にはまだ触らない。蒼紫は彼女の脇を掬うようにして抱き上げた。
「ただいま。若葉」
「ぱぱ!」
スーツの襟元にぴたりと頬をつけられる。
蒼紫の顎を、彼女のやわらかすぎる髪がくすぐる。
体もさることながら、頭もほんのりと温かくて、蒼紫はにやけるほかなかった。
蒼紫は一年と数ヶ月前からこの女――若葉というこの女の子に、すっかり骨抜きにされていた。彼女よりも可愛い女がいるだろうか。いやいまい。いるはずがない。いて堪るか。いないったらいない。
若葉を抱いたまま廊下を進み、ドアを開けると、カレーの匂いがした。
「おかえりなさあい。ごめんね、今手放せなくて」操がまな板を食洗機に入れる。「代わりに若葉にお出迎えしてもらったの」
「ああ。ただいま」
蒼紫はリビングに一旦若葉を下ろし、鞄を置いて、いそいそと洗面所へ向かった。ドアを閉め切る直前、
「あー」
背中に名残惜しそうな声が刺さる。
「ぱぱ、なーい」
「パパね、おてて洗ってくるだけだから大丈夫だよ」
「ぱーぱ」
「わかちゃん、パパ出て行くわけじゃないから大丈夫よー」
後ろ髪どころか全身くまなく全力で引かれつつリビングを出る。洗面所で手を洗いうがいをし、部屋で手早く着替えれば、至福の時だ。
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間違い探しでもあります。
分かりやすすぎる答え①「そういったことを、誰も知らない、というのがまたいいのであった。」→んなわけがない
分かりやすすぎる答え②「もしかすると妻ですら知らぬかもしれない。」→んなわけがない
分かりやすすぎる答え③「いないったらいない。」→嫁はまた別の話
手洗いうがいをする前の手で娘のぷくぷくおててには触れん!という優しさも垣間見えます。でも抱っこはしたい。
現代ならパパ呼びでしょ! と盛り上がった結果でした。