買い物?
そうだなあ。今までの人生の中で、一番有意義なお金の使い方をしたのは、シルクのショーのチケットを買ったときかな。
シルクというのは、いわずと知れた世界三大サーカスのひとつ、シルク・ドゥ・ソレイユのことです。ショーを観たことはなくても、名前は知ってる! という方も多いのでは?
シルクは結構な割合で日本にも来て、毎回すんごいショーを見せてくれます。
それも人間の力のみを使って! サーカスというと、猛獣ショーなんかも想像しますよね。シルクには動物は一切登場しません。人間の力の限界に挑戦しているようです。かっこいいぜ。
私が今オリジナルで書いている小説が、サーカスを舞台にしたものなので、それで興味を持ったのでした。考えてみれば、サーカス観たことないのにそれをネタに小説書くって、だいぶ無謀なことしてますよね。
そんなシルクのショーを観たのは、去年のことでした。人生初シルク。去年日本公演をやっていたのは、「ovo」でしたね。
「ovo」はシルク初?のストーリー仕立て。昆虫の世界で、謎の青年(ハエ)が大きなオーヴォ(卵のこと)を背負って現れ、コロニーの虫たちとまあ色々する、という感じのお話でした。
彼らは虫なので、鳴き声こそ上げさえすれ、言葉は一切しゃべりません。虫っぽい鳴き声で会話をして、表情や仕草から観客がその内容を感じ取るスタイルでした。すごいのは、ちゃんと分かるんです。何を言ってるか。
それから動き方。彼らは虫なので、虫っぽく歩き、虫っぽく走り、虫っぽく跳びます。それがね、ぜんぜん気持ち悪くないんですよ! むしろ再現率に笑っちゃうくらいなんです。この話をしたら、虫嫌いな人に「見たら絶叫する」とけなされましたが、気持ち悪くないんですって。すごいんですって。コオロギとかクモとかすごいんですって。
そんなショーを観たくて、チケットを買いました。
¥一万円¥
これでもS席です。ステージの横の席。SS席(ステージの正面)は1万5千円。……ヒューゥ!
ステージ横からだから、ちょっと見えづらいかな…なんて思っていたら、なんと! 私の席は、最前列だったのです!
一番前! ステージが、ステージが私の50センチ前に!!
すぐそこまでアーティスト(シルクでは、パフォーマーをそう呼びます)が来てくれて、もう、大感動でした。あんまりにも近くに来るもんだから、勇気を出して声を掛けてみたりして。そしたら、返してくれたりして。
たった一言「Hello」って言っただけなのに、あれが本当に嬉しくて、もう、今でもはっきり思い出せます。
幸せだったなあ。
あのショーを観たあと、なんだかふわふわして、難しいことや、面倒なことや、暗くなっちゃいそうなこと、一切考えられなかったんです。しあわせだあ~~という気持ちが、頭までぶわ~っと膨らんでいった感じ。
酔っ払ったとかではないですからね。ほんとに。幸せすぎると、感動しすぎると、人ってこんなふうになるんだな、と思いました。
この気持ちを忘れないように、と思ってふわふわしながら書いたのがこちら。(抜粋)↓
すごかった。アーティストの演目も、表情も、演技も、客いじりも、音楽も、全部すごかった。ここ一週間の記憶がなくなってもいいから、今日の2時間半を一瞬も残さずに死ぬまで覚えていたい。て、涙が出てくる。もう一回見たいけど、その涙じゃない。サーカスってああいうことなんだ、あれがシルクなんだって思うと、とんでもない世界だなって泣けてくる。のかも。
コオロギが手を振ってくれた。声かけてくれた。アントのとき、袖がわにいたコオロギと目が合ったら、笑って、あっちだよ、って舞台のほう指差してくれた。タランチュラが毛で紙吹雪をかけてくれた。オーヴォが間近に来た。あれ持ってたのもコオロギか。おっとっとって。
サーカスすごい。ちょっとでもネタになるようなものを、と思ってたけど、そんなの考える暇もなかった。ただただすごかった。
やっぱり抜けていきそう。あとは自分のなかで膨らませて、ずっとふわふわさせていたい。見るべきものだ。幸せだった。今も幸せ。サーカスに興味持ててよかった。シルクが来てくれてよかった。ありがとう。ありがとう。今度見る機会があったら、アーティストにハロー以外のこと言おう。
大感動ですねえ。
サーカスってすごい、と、上にも書いてありますが、そのパワーを感じた時間でした。一万円。全然もったいなくなんかない。
そんな私は、もちろん、今年のシルク「TOTEM」も見に行きますよ!!!
東京公演はもう終わってしまいましたが、まだまだ全国を回っております。近くで公演中の際は、ぜひ。
シルクの関係者でもないのにそれっぽい宣伝をしました。
さて、蒼操書きます。
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それどこ大賞「買い物」