monaho

monahoって、エスペラントで、僧侶の意味なんですって。

オリジナルイライラ

 暑いですね。暑い。みなさんいかがお過ごしですか。

 こう暑いとイライラしちゃいますよね。そんな、イライラするなあ~~もう!!と思った少し前の私が書いたイライラ解消のためのイライラさせてるお話を見つけたので置いときます。オリジナルです。続きません。さらにイライラさせちゃったらごめんなさい。さて、この中で一番イライラしている人は誰でしょう?

 -------


 おい風呂いいぞ、と声をかけると、決まって弟は「兄貴が先に入れよ」と生返事を返してきた。
 「俺は明日テストだから」
 「俺だって忙しいんだよ」
 そう言い放つ弟は懸命にゲーム機を見つめている。溜め息すら吐く気になれず、わざと音を立ててノートを閉じた。
 「ゲームは風呂入ってからでもできるだろ」
 「勉強だって上がってからできるだろ。どうせ早く起きるんだから学校行ってからだっていいじゃん」
 屁理屈――、と口を開いて、だが言うのはやめた。間違っちゃいない。勝手に腹を立てるのは格好がつかない。折れるべきは、自分である。
 そう割りきって彼が風呂から上がってくると、母が帰ってきていた。スーツも着たまま何やら台所で騒いでいる。ひとまず挨拶はしておくべきか、とそちらに顔を出すと、彼の姿を見るなり母は盛大に溜め息を吐いた。
 「なんでお皿の片付けくらいしといてくれないのよ。やっといてって言ってるでしょ? 少しは気遣ってよ」
 見れば夕食の食器が確かにシンクに積まれたままになっている。彼は濡れた前髪をがしがしと掻いた。食後に弟に頼んだはずである。昨日は俺がやったから、今日はお前が片付けろと。少しでも期待し、目を離した自分が馬鹿だった。
 「聞いてるの!? もういいわよ、私がやるから」
 母はいつもこうだ。誰かに頼んだ仕事に不満足ならば、じゃあ自分がやると言い出す。それできれいさっぱり忘れてくれるならいいが、自分でやりながら怒っているのだ。どうして私がやらなきゃいけないのよ、と呟いているのが丸聞こえで、なら自分がやるなどと言わなければいいのにと心底思う。それ以上に、その母のぼやきを聞かされる時間が苦痛であるから、彼は「いいよ」と手を出した。
すると、乱暴にスポンジを突きつけられた。そうして、
 「だったら最初からやりなさいよ!」
 捨て台詞のようにそう怒鳴られる。母がずんずん大股で部屋へ向かうのにいちいち見向きなどせず、ただちらりと弟の様子だけ見た。彼は未だ平然とゲーム機を握っていた。喉のあたりに固いしこりが浮いているような感覚があって、熱を持っていたから、彼は呼吸してそれをやり過ごす。……