monaho

monahoって、エスペラントで、僧侶の意味なんですって。

昼の顔、夜の顔【5/29追記】

 揚羽さん(https://www.pixiv.net/member.php?id=17643743)が「葵屋の古井戸に纏わる話」にリンクを貼ってくださったよ!!!!アリガトウ!!!

 揚羽さんの作品ページからいらしてくださった方もいらっしゃるのかな。初めまして。慶と申します。殺りん要素が一切ないブログです。すみません。

 しかもこのあいだからなぜかキリ番が機能しておりません。すみません。4444と5000HITも設定していたのですが……ちゃんと動いたのかしら……

 

 さてさて、

 以下は久々におはなしです。

 御頭、禁断の扉を開く!? 誰にも秘密の激情、一度触れたらもう離れられない。これは恋――!?

 映画「昼顔」のポスターを思い浮かべてから(安心して)お読みください。

 

 

 

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 新たな扉を開いてしまった、という自覚はある。

 禁断の扉。甘やかであり、なめらかであり、温かくあり、早い話が夢中――。であった。骨の髄まで毒されたといっていいだろう。無論、その毒すらひたすらに甘い。

 そういったことを、誰も知らない、というのがまたいいのであった。誰も知らぬ。蒼紫が今、こんなにも彼女に夢中になっているということを、同僚はおろか、もしかすると妻ですら知らぬかもしれない。背徳感。蒼紫が頭の中でいくら彼女のことを考えても、それを知れる者はない。甘ったるい声。やわらかな肢体。顔をうずめると立ち上る、なんともいえない芳香。この手に抱いたときの、愛らしくしがみついてくるあの姿。唇を寄せれば、その肌はシルクよりも潤って、あれは身をよじるのだ。からだを離そうと胸をなぞる、その力加減すら、息苦しくなるほど愛おしい。

 ひとたび彼女と会ってからは、蒼紫はもう虜であった。未知の世界ではあったが――、もう戻れるものではない。引き返せない。

 彼女よりも可愛い女がいるだろうか。いやいまい。いるはずがない。いて堪るか。いないったらいない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ぱあ」

 蒼紫の帰ってくる時間をすっかり覚えたらしい。”彼女”は一歩一歩、足をひとつずつ持ち上げるようにして歩いてくる。いや走ってくる。きっとそのつもりなのだ。

 「ぱぁ、ぱ、ぱ」

 きゃらきゃら楽しそうにしながら、彼女は手を伸ばす。ちいさな手。ぷくぷくの指。その手にはまだ触らない。蒼紫は彼女の脇を掬うようにして抱き上げた。

 「ただいま。若葉」

 「ぱぱ!」

 スーツの襟元にぴたりと頬をつけられる。

 蒼紫の顎を、彼女のやわらかすぎる髪がくすぐる。

 体もさることながら、頭もほんのりと温かくて、蒼紫はにやけるほかなかった。

 蒼紫は一年と数ヶ月前からこの女――若葉というこの女の子に、すっかり骨抜きにされていた。彼女よりも可愛い女がいるだろうか。いやいまい。いるはずがない。いて堪るか。いないったらいない。

 若葉を抱いたまま廊下を進み、ドアを開けると、カレーの匂いがした。

 「おかえりなさあい。ごめんね、今手放せなくて」操がまな板を食洗機に入れる。「代わりに若葉にお出迎えしてもらったの」

 「ああ。ただいま」

 蒼紫はリビングに一旦若葉を下ろし、鞄を置いて、いそいそと洗面所へ向かった。ドアを閉め切る直前、

 「あー」

 背中に名残惜しそうな声が刺さる。

 「ぱぱ、なーい」

 「パパね、おてて洗ってくるだけだから大丈夫だよ」

 「ぱーぱ」

 「わかちゃん、パパ出て行くわけじゃないから大丈夫よー」

 後ろ髪どころか全身くまなく全力で引かれつつリビングを出る。洗面所で手を洗いうがいをし、部屋で手早く着替えれば、至福の時だ。

 

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  間違い探しでもあります。

 分かりやすすぎる答え①「そういったことを、誰も知らない、というのがまたいいのであった。」→んなわけがない

 分かりやすすぎる答え②「もしかすると妻ですら知らぬかもしれない。」→んなわけがない

 分かりやすすぎる答え③「いないったらいない。」→嫁はまた別の話

 

 手洗いうがいをする前の手で娘のぷくぷくおててには触れん!という優しさも垣間見えます。でも抱っこはしたい。

 現代ならパパ呼びでしょ! と盛り上がった結果でした。